「取引態様」について、お部屋探しをするときに役立つ実践的な解説をします。
ねらい目の取引態様
お部屋探しの際、ねらい目の取引態様は「専任媒介」。専任媒介の物件を積極的に検討することをお勧めします。
専任媒介とは
ちなみに、ざっくりと大前提を説明します。専任媒介とは、不動産会社が特定の物件に対して賃借人を探すのを貸主から一社に限定している状態です。(但し、貸主が自ら賃借人を探すことも可能。実務的には、99.9%無い。ゼロではないです。)
理由
専任媒介のお部屋(物件)をお進めする理由は、契約ごとがスムーズにいく確率が高いからです。「専任媒介」とは、その不動産会社が、物件のオーナー(貸主、いわゆる大家さん)と直接的に媒介契約を結んでいます。
「契約ごとがスムーズにいく」を具体的に説明します。
- 家賃の値下げ
- 日割り家賃の発生日の先延ばし
- 設備のグレードアップ
- その他
大家さんと直接、話をできるので、家賃の値下げ、日割り家賃の発生の先送り、設備のグレードアップなど、プラスアルファの条件交渉が承諾してもらいやすくなります。
また、契約にまつわる書類等、事務手続きもスムーズです。
- 申込手続き
- 入居審査
- 重要事項説明
- 契約
- 契約費用の決済
気に入って、申し込みの場合は、その不動産会社の店舗でできます。(ほとんど場合は紹介された不動産会社の店舗で追う仕込み手続きはできますが、元付をしている不動産会社まで出向くケースも中にはあります)
そして、入居審査ですが、申込の記載内容に基づき各項目をチェックするのですが、信用情報による審査委託とオーナーの意向、仲介会社の基準など、それらの項目は多岐にわたりますが、専任媒介であれば、それらのやり取り判断がスピーディーなのです。
他の項目においても、”直接”であることは、スムーズさにつながるというわけです。スピード的な意味合いもありますが、正確性においてもスムーズです。
注意点
しかし、上記のメリットをふまえた場合、専任媒介の物件の注意するべき点は、複数の店舗(A店、B店など)を運営する会社の場合です。
専任媒介契約とは、「貸主」と「不動産会社」が締結するもので、「店舗」と締結するわけではありません。店舗による担当制が設けられているケースが多いので、会社として「専任媒介」でも、担当ではない店舗で取引しようとした場合は、担当店舗を介して、貸主と交渉事がされることがあります。
この場合、ワンテンポ遅れてしまうケースが散見されます。
一般媒介
一般媒介とは、貸主が複数の宅建業者に媒介(借主を探す募集業務)を依頼できます。
デメリット
物件が見つけにくい
一般媒介は、前述の通り、複数の不動産会社が募集をします。不動産会社にとっては、他の会社で、決まってしまうという、ある意味リスクがあります。せっかく広告費をかけてネットなどに掲載したとしても、他で決まってしまえばゼロ。それどころか、成約済みで掲載を続けると広告違反になることもあります。
不動産会社の一般物件の賃貸ポータルサイトへの物件掲載の考え方、姿勢がネガティブな場合は、一般物件は露出が少ないケースがあるのです。つまり、優良物件なのに見つけにくいことがあります。
申込み済みに注意
一般媒介の物件は、他の不動産会社で、すでに申込が入っているケースがあります。それを防止するために、不動産会社の営業スタッフは、一般媒介の部屋をお客様に紹介する場合は、直前に物件オーナーに「空き」の確認をしてからになります。
「一般媒介」と書いてあるのに、直前にオーナーに空きの確認をしていないのに進めてくる営業スタッフには注意が必要です。
入居後の管理
一般物件の場合、いわゆる大家さんが管理をします。設備が故障した場合、近隣等のトラブルなどの対応が、管理会社のそれよりも、不十分なことが考えられます。
また、不具合があった場合に、管理会社に対して要望依頼は何のためらいもなくできるが、ある意味、一般人の大家さんに対しては、何かいいずらく、我慢してしまう心理を持つ人もいるようです。
メリット
一般媒介を借りようとする側のメリットは、物理的には他と違いはないでしょう。あるとすれば、ソフト面で、仲介する不動産会社を選べることです。
物件は気に入ったが、担当者、ひいてはその不動産会社との相性が合わない場合があります。担当者との会話のリズムが合わない、その上司も頼りにならない、その不動産会社まで行くのが不便…。
同じ条件で、同じ物件を紹介してくれるなら、いっそのこと不動産会社を変えるというのも一つの案です。但し、申し込みを入れてから、安易に不動産会社を変えるというのはマナー違反に当たりますので、それは節度をもって検討しましょう。
媒介・仲介
「媒介」「仲介」は、一般媒介、専任媒介、専属専任媒介のほか、「仲介可能」の「仲介」の総称です。「仲介(可能)」とは、媒介契約を締結している不動産会社が、他の不動産会社に入居者募集の窓口を開いているということです。募集する側は、「仲介」として、貸主とは特に関係ありません。媒介契約を結んでいる不動産会社を通して、借主側として、共同仲介することとなります。
総称である「媒介」「仲介」と記載がある場合には、上記のどれかは実際はわかりません。問い合わせするしかありません。但し、「専任媒介」であれば、そのように記載した方が、お客様へのアピール性が何となく高くなりますので、そうする場合が多いのも現実。
「媒介」「仲介」は、借りる側にとって広く情報が入っているという大きなメリットがあります。
仲介を担当する不動産会社の規模や担当者のスキル、契約事務手続きなど、特に自分のペースでできる(できそう)という人にとっては、特に問題なくメリットでしかありません。お部屋探しは、情報命という部分も多分にありますから。
まとめ
取引態様に関して、それぞれのパターンを解説いたしました。きっちり、把握していただければ、お部屋探しをミリ単位でお得にできる可能性が高くなります。但し、初めて、お部屋探しをする場合は、かえって混乱してしまう情報かもしれません。
この記事は、あくまでも、傾向、確率で、あえて言い切ってしまっています。さらっと読んでいただき、頭の片隅にでも、置いていただき、「そういえば、こういうこともあるんだな…」という感覚でご理解いただくと幸いです。
あなたが、よいお部屋と巡り合えますように!